2024年7月15日月曜日

サロマ湖100kmウルトラマラソン2024 中編

  朝5時に湧別町スタートなので、事前に3時に宿が用意してくれたおにぎり+簡単なおかずを詰め合わせたお弁当を食べる。朝の3時に起きぬけでなかなか食べれないが、今日はゴールまで胃腸が持つかはわからないので、食べれるときに食べておく。

 宿が用意してくれたバスで3時に宿を出発。まだ日の出時刻前で暗いなか、早朝の信号のない道をノンストップで走っても留辺蘂町から湧別町まで一時間以上かかる。


 スタート会場の湧別総合体育館はすでに多くのランナーで賑わっている。3,000人ほどの100キロ出走者と聞いていたが、フルマラソン大会並みの賑わい。アミノバイタルのテント前でヘイジーさんを見かけて、再び興奮して(一方的な)ご挨拶。その後、20分ぐらい前からスタートグリッドに整列。Cブロックで後方からのスタートだが、ウルトラマラソンなのでネットとグロスの差はほとんど気にしない。そして5:00号砲し、スタート。

 今回はいろいろと考えた結果、完走することを第一目標において慎重に考えた。フルマラソンだったら、欲を出した設定ペースで後半崩れたとしても、なんとか完走はできる。しかしながらウルトラマラソンでは、40キロで崩れたら、まだそのあとに60キロも残っている。長距離になればなるほど、その途中で走りや体調が崩れない、と考えることに無理がある。だから、トラブルがない走りをどれくらいまで後半、もっというと終盤にまで引っ張っていけるかが、重要になると考えた。

 そのために、考えたのが上限心拍数を制限して走る、という方法。一般的には自分の最高心拍数(自分だったら178bpm)の7割から8割で走ることで、より長距離を体力を温存して走れると言われる。
 自分だと、8割なら142bpm。7割だと125bpmだが、事前のジョグや練習で125で走ることは難しいと感じていたので、8割の142を超えないようにして走ることにした(また、心拍には当日の暑さも影響する)。また、ペース設定についてはアート鈴木さんがいう、60キロまでは7:00/kmでよくて、60~80キロまでは8:00/kmまで落としてOK。さらに80~100キロは9:00/kmまで落としてもいい、という話が一番サロマ初心者には合うと考えて、実践することにした。
 ただし、本当にそのスピードにしてしまうと全く貯金がないので、エイドなどでの水分補給や大エイドでの着替えや食料補給に使う時間が無くなってしまうので、それよりも速く走って余裕自分の”貯金”を作りましょうね、という考え方だ。

 自分は50キロまでは6:30~7:00/kmのペースで走り、上限心拍数は142を超えないようにするとして臨んだ。やはり前半は少し上りになると150を超えてしまうこともあったので、その時は積極的には走らず歩いていい、という事にした。フルマラソン距離まではその考え方でおおよそ6:30/kmで走れたと思う。
 ただ実際は、当日は佐呂間町の最高気温が31℃まで達しているし、実際は25キロ過ぎから国道に出るまでの広大な畑の中を走り抜けるとき(時間でいうとまだ8時前だ)から強い直射日光が降り注ぎ、体感気温としてはすでに30℃に到達していると感じるほど、気温条件は厳しかった。

 各エイドステーションや水被りポイントでは積極的に掛水して身体を外部から冷却するようにした(ここで前日に東川町のモンベルで購入したアームカバーと首に巻いた濡らすと冷却効果があるタオルが役に立った。)が、それでもフルマラソンディスタンス以降の中盤は、厳しい走りを強いられた。
 50キロから54キロ地点にある大エイドステーションから61キロまでが一番きつかったかもしれない(同行したランナーにもここで抜かれた)。いま思い返すと佐呂間町に入って10時から11時前後に気温が一番高くなっていて、3回ほどの国道沿いの走路が狭く気を使って走っている中でのアップダウンでは体力がかなり削られたと思う。登りは前述した上限心拍数を極力超えないよう歩きも入れて体力の温存を図るが、ペースが悪化するだけでなく走りのリズムが悪くなり、精神的にもきつかった。

 61キロから先は、下り基調かつフラットになって水辺に近づいて気温も少しだが下がりだす(内陸は暑く、海沿いは涼しい。)。
 フルマラソンを超える長距離走では、上り下りといったフィジカルだけではなくてそれを支える補給をどうするか?も重要なポイントである。
 自分はいわゆるゼリー系の飲料を連続的に摂取することが苦手で、ゼリーを取りすぎると胸焼け&胃が荒れてそれ以降食べ物を受け付けなくなってしまう(ウルトラ系では胃腸がやられる人も多いが、長時間揺さぶられることが原因なのだろうか。)。
 そのためできる限りエイドステーションで"自然なフルーツや食料"を摂取するように努めた。

 これはチャレンジ富士五湖ではバナナとオレンジに助けられ、やばそうなときはガスター10を服用した経験だ。サロマ湖100kmでも、できる限りこのバナナとオレンジを交互に摂りながら進むことにして、胃腸を守り、手持ちのゼリーは本当にエネルギーが切れた時だけに摂取するようにしようと思っていた。
 また、そうしたゼリーやフルーツなど流動系のものは、食事をとった感覚に乏しいと体が空腹に反応してしまうので、咀嚼する食べ物を持参することも重要。なので、ドライフルーツ&ナッツを携行するようにもした。
結果的には持参したゼリー系の補給食はジャム屋のジェル1本のうち、1/3を飲んだだけだった。(わりと自然なものなので、よくあるランニング用のゼリーのような化学合成っぽさはないが、甘さがきついので連続した摂取は厳しい。)。胸焼けと胃腸の調子を崩したとき用にガスター10も持参していたが、途中で予防で1錠飲んだだけで済んだ。

 63キロ過ぎと回想するが、魔女の森と呼ばれるしばらく続く木陰道を走れる場所がある。その森に入り走りのリズムを取り戻し始める。
 しかしながら、走り始めると脚、特に前腿に痛みが出始める。無理はしていないが60キロを走ってきているのだ。たしかこのあたりで、攣り防止の漢方薬(芍薬甘草湯)と痛み止めのロキソニンを飲んだ記憶があるが、その後は淡々と7:00/kmのペースで走れるようになったことに気がついた。エイドでは水・ポカリだけを補給して、他の固形食を取らずにそのペースを刻めるようになっていた。
 いままでだったら、ハンガーノックまでは行かないが、エネルギー切れが顕著になってきて脚が動かなくなってきたり、猛烈になにか食べたくなったりすることが多かったが、今回は違った。糖分を取らずに遅いながらも一定のペースで走行できるのだ。後で思えば、うまく身体が脂肪燃焼モードに移行したのだろうと思う(前夜の風呂場で計測下の比べ、ゴール後は2キロ体重が減少していた)。

 前記のように補給の心配があまりなくなったが、70キロすぎからは脚がゴールまで持ってくれるかどうか?が一番のポイントだった。5〜10キロごとに大腿四頭筋に痛みが走るので10キロ毎にロキソニンを飲んで痛みを抑えた。また、そことはタイミングをずらし、前述した芍薬甘草湯も服用して、脚攣りも防止する。
 途中からは、意識も若干遠のくからか、脚が痛むのか攣りの前兆なのか判断がつかなくなっていたのだが。

 前記のようにあまり取らなかったエイド食だが、70キロ過ぎの鶴雅リゾードのエイドで頂いた冷やしそうめんが美味しかった。塩味が身体に沁みた。
 まだワッカ原生花園には入らない自動車道沿いだが、遠くサロマ湖の対岸にワッカ原生花園を走っている蟻の行列のようなランナーの隊列が見えたが、気が遠くなる。
 途中、ランナーの人と頑張りましょうなどと声掛けしつつ、なんとかワッカ原生花園への入り口である麦乾工場が見えてきた。後編へと続く。

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